香港の会社設立で知っておきたい納税者番号BRNとTINの違いとは?

香港の会社設立で知っておきたい納税者番号BRNとTINの違いとは?

香港で会社設立を検討されている皆様、会社の運営において必要になるのが「納税者番号」です。香港では、個人と法人でそれぞれ異なる納税者番号が割り当てられ、税務申告や各種手続きに必要となります。そこで今回は、香港会社設立において理解しておくべき納税者番号、BRNとTINについて、それぞれの特徴、取得方法、役割、そして混同しやすいポイントなどを詳しく解説していきます。

まず、BRNは、Business Registration Numberの略称であり、香港税務局が発行する8桁の固有番号です。単なる納税者番号にとどまらず、香港法人にとってまさに唯一無二の識別番号として、様々な場面で必要不可欠な役割を担っています。

例を挙げると、香港税務局への納税申告では、BRNを用いて所得税、利得税、法人税などの納税額を計算し、納税することができます。また、銀行口座開設時には、BRNを提示することで本人確認を済ませ、口座開設手続きを進めることができます。さらに、雇用契約締結時には、従業員のBRNを記録することで、社会保険料や税金などの支払い義務を履行することができます。

その他にも、香港政府機関とのやり取り、ビザ申請、オンラインでの各種申請やサービスにも利用され、香港で会社を運営する上で必要となるあらゆる手続きに欠かせない納税者番号となります。

このBRNを取得するには、香港税務局への申請手続きをしなければなりません。申請には、会社の登記証明書や取締役の身分証明書などの基本書類に加え、状況によっては会社の定款や事業計画書などの追加書類も求められます。書類の準備には専門知識が必要となる場合もあるため、会社設立代行業者に依頼するのが一般的ですが、ご自身で手続きすることも可能です。香港税務局のウェブサイトでは、申請に必要な書類や手続き方法に関する詳細情報が公開されています。オンラインでの申請も可能で、通常数週間でBRNを取得することができます。BRN取得にかかる費用は、代行業者に依頼する場合と自身で手続きする場合で異なります。また、申請手続きには時間がかかるため、余裕を持って準備を進めましょう。

一方、香港居住者にはTIN(Taxpayer Identification Number)と呼ばれる納税者番号が割り当てられます。これは香港IDカード番号と同一で、個人であれば香港で所得を得るために必ず取得する必要があります。TINは、香港における税務申告や納税はもちろんのこと、銀行口座開設、不動産取引、就職活動など、様々な場面で必要となり、マイナンバー制度に近い存在と言えるでしょう。

TINの取得は、香港税務局への申請手続きを経て行います。申請には、香港IDカードの提示やパスポートなどの身分証明書、居住証明書などが求められます。取得手続き自体は比較的簡単ですが、必要書類を事前に準備しておくことをおすすめします。必要書類の種類は、個人の状況によって異なるため、香港税務局のウェブサイトなどで最新情報を確認しておきましょう。

必要書類を準備できたら、香港税務局のウェブサイトから申請フォームをダウンロードし、必要事項を記入します。記入が完了したら、必要書類を添付して、香港税務局へ郵送または持参します。申請が受理されると、香港税務局から数週間後にTINが通知され、通知方法は、郵送またはEメールを選択することができます。

なお、TINを持たないまま所得を得ていると、加算課税などのペナルティーを受ける可能性がありますので、注意が必要です。香港で生活やビジネスを始める際には、TINの取得を忘れずに済ませておきましょう。

このように、BRNとTINは、どちらも納税者番号として重要ですが、それぞれ異なる役割と対象者を持っています。これらの納税者番号を混同してしまうと、必要書類の提出ミスや手続きの遅延など、思わぬトラブルに繋がる可能性もあります。

BRNは法人、TINは個人に割り当てられる、BRNは香港税務局への申請が必要、TINは香港IDカード取得時に自動付与、BRNは法人に関する手続き、TINは個人に関する手続きで必要、といったポイントを押さえて、正しく使い分けることが、円滑な会社運営に不可欠です。香港会社設立を検討している方は、ぜひBRNとTINに関する知識を身につけて、スムーズな会社設立を目指してください。

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